話題の懸賞サイト、iWon
アメリカでは、サイトでメールを読んだり、検索をしたり、買い物をすると懸賞に応募できる懸賞サイトが話題を呼んでいる。こうした懸賞サイトは、99年終わり頃からアクセス数で上位にランクインするようになった。その中でも最も注目を集めているのがiWonだ。
iWonでは、日々のニュース、金融情報、天気予報、TV番組や映画館のスケジュール、住宅情報といった情報から、検索機能や電子メール、チャットといったサービスまでを提供するポータルである。それに加え、毎日、毎週、毎月、さらには確定申告日に賞金が当たるのだ。懸賞に応募するには、このサイトを利用してポイントを稼ぐだけ、といたって簡単である。
ニュースなどのページを閲覧するだけでページあたり1〜10ポイント、また提携サイトを通じてのショッピング、音楽鑑賞、メールやゲームを利用をするたびにポイントが得られる。
その日、その週、その月、そして累計獲得ポイントがブラウザの上部に常に表示されている。ポイントの上限は1日100ポイントだが、100ポイントくらい自分の好きな情報などを見ているうちに数十分で貯まってしまう。他の懸賞サイトと違うところは、獲得したポイント数が多いほど応募回数が増えるという点だ。
懸賞金は、毎日1万ドル(1名)、毎週1000ドル(30名)、毎月100万ドル(1名)、確定申告日には何と1000万ドル(1名)である。そのほかにもスポンサー企業が提供する賞金もある。当選者にはメールで通知がいくが、サイト上でも当選者の写真とコメントを掲載しており、2回当選したという人もいる。
2001年からは、ポイントをiWonの懸賞ストアで現金同様に利用できる予定だ。懸賞ストアでは、CDやビデオ、旅行、電化製品などの商品を扱うことになっており、サイト利用者にはまたひとつ魅力が増える。
私もこのサイトの利用者の一人だが、使用前は、その情報量と機能の多彩さから「一つ一つの情報や機能は大したことないだろう」と甘く見ていた。しかし、実際に使ってみると非常に便利なのだ。地元の映画館情報や気象情報、ケーブルTVのスケジュールが確認でき、ショッピングも、地元の小売店の特売情報などが入手できる。
ヤフーなどに比べると「情報の深さや広さは劣る」という人もいるかもしれない。しかし、利用者として、このサイトの見やすさや使いやすさ、情報の質には十分満足がいくものだ。ある調査でも、ポータルや検索サイトとしての顧客の満足度はヤフーやAOLよりも優れているという結果が出ている。
このようなサイトを利用する上で心配なのは、個人情報が外部に提供されないか、スパムメールが山ほど送られて来るのではないかということだろう。こうした懸賞サイトの収入モデルは、広告・スポンサー料、ECサイトからの手数料だからだ。サイト利用には登録が必要だが、住所、氏名、電話番号、メールアドレスなど細かな個人情報の記入が要求される。
しかし、他の懸賞サイトからは毎月たくさんのメールが送られてくるものの、iWonからそうした広告メールが送られてきたことはない。iWonでロトやスポーツくじに応募すると、その広告主から宣伝メールは送られてくることはあるが、自分が選択した広告主からのみである。
トラフィックの多さや利用時間の長さが示す人気度は高いものの、こうして広告収入に頼った懸賞サイトのビジネスモデルには疑問が残る。iWonの年間2700万ドルの賞金には1700万ドルのコストがかかり、販促キャンペーンには半年で4000万ドルが費やされたという。トラフィックが必ずしも製品販売にはつながっていないようで、ECサイトからの手数料も大して期待できない。「賞金による集客方法は短期的戦術」という見方も強く、こうした懸賞サイトも一種のブームで終わるのか、ヤフーのように黒字転換ができるのか、今後の更なるサービスと収入モデルの多様化にかかっているといえるだろう。
(佐藤)
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