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有元美津世のアメリカ西海岸便り

アメリカでも大流行
風水で企業業績が向上する!?


 先日、アメリカの大豆ブーム、枝豆が「Edamame」としてそのまま通じることをお伝えした。以前、合気道やテコンドーなど東洋武道の流行についても書いたことがある。アメリカにおける東洋の生活様式や文化の普及は増す一方だ。特にアジア系住民の多いカリフォルニアでは、鍼や指圧、漢方による治療なども簡単に受けられる。「Shiatsu」(指圧)などの言葉もそのまま通じることが多い。

 中国古来の風水(英語で「fengshui」)も、ここ数年アメリカで流行っている。風水がインテリアデザインに取り入れられ、家庭だけでなく、会社でも利用されているのだ。在宅ワーカー向けに「ホームオフィスのための風水」というアドバイスも提供されている。

 ユニバーサルスタジオ、メリルリンチ、フォードなどの大企業、不動産王ドナルド・トランプまでもが風水を取り入れているらしい。

 インターネットビジネスを始めるアメリカ人の知人も風水にこっており、新たに設ける事務所も風水にもとづいて机の位置などを決めるという。

 インターネットという最新技術と、風水という古来の伝統の組み合わせは意外な気がするが、風水はシリコンバレーでも大流行である。

 出荷が落ち、人材採用もままならず、社員の間には不満が増加していたシリコンバレーのハイテク企業では、風水のコンサルタントを雇って、壁の色を変えたり、社員の机の位置を180度回転させたりしたところ、まもなく出荷が延び、必要な人材は見つかり、社員の不満も解消されたという。

 ベンチャー企業では、長時間勤務が当たり前で、社員は自宅よりも勤務先で過ごす時間の方が長い。これまで生産性向上、社員を(他社に奪われないよう)キープする手段として、社内での昼食や夕食の提供、卓球台やビリヤード、コンピューターゲーム、社員向けコンシェルジェなど、いろいろな方法が取られてきたが、風水が最新ツールというわけだ。社員のために風水のセミナーを開催したり、個別相談を提供したりしている企業もある。

 風水を取り入れていることを公表しているシリコンバレーの有名企業も少なくないが、中には笑われるということで隠しているところもあるようだ。

 風水のクラスもあちらこちらで開かれており、南カリフォルニアで有名な中国人が教えるクラスには、南米やヨーロッパなど世界中から生徒がやってくる。インターネット上で行われるオンラインセミナー(http://www.amfengshui.com/bbs.htm)まで登場している。ビジネス交流会でも風水のコンサルタントを招いてセミナーを行うといった調子だ。

 日本語訳も出版されている、マレーシアのリリアン・トゥー著による「Little Book of Fen Shui」は、21カ国語に訳され、世界中で3500万部売れたが、アメリカ、ヨーロッパ各国でベストセラーとなっている。ちなみにトゥー氏は、ハーバードビジネススクールでMBAを取得し、マレーシアで女性として初めてパブリックカンパニーの社長、アジア初の銀行の女性CEOとなったビジネスウーマンだ。45歳で引退後は、風水のエキスパートとして活躍している。

 風水がアメリカで流行っている理由のひとつには、アメリカでのアジア系住民の数が増えたのが一因だ。

 1980年から90年の10年間で、アメリカのアジア系住民の数は倍増。サンノゼでの住宅購入者の7割がアジア系だという。住宅を購入にするにあたり、特に中国系は風水を気にする人が多く、住宅開発業者に風水にもとづいて改装の注文をつける人が多かった。そこで建設時から風水のコンサルタントを雇って、住宅を建設する住宅開発会社もあるという。風水のおかげで住宅の販売もうなぎ登りというわけだ。

 風水を信じる、信じないは別として、風水がビジネス、経済に貢献していることは事実である。

有元美津世/N・O誌2000年11月号掲載  Copyright GloalLINK 1997-2000

Revised 12/1/2000

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