ベンチャー グローバル 西海岸便り
 
HOME
FAQ
GlobalLINKER
 
お問い合わせ お問い合わせ

サイト検索
有元美津世のアメリカ西海岸便り

マケイン候補は5億円弱をウェブで調達
インターネットが変えるアメリカ政治シーン


  今年11月に、4年に1度の大統領選挙を迎えるアメリカ。共和党、民主党両党の候補者が決定したが、今回の予備選挙では、インターネットが大いに活躍した。各大統領候補ともインターネット部隊を設け、ホームページを作成し、資金やボランティア集めに利用したのだ。

 企業や利益団体からの多額の献金に反対し、選挙運動資金改革を訴えていた共和党候補のマケイン上院議員などは、選挙資金の4分の1近くにあたる5億円弱をウエブサイトを通じて一般有権者から獲得した。マケイン議員のサイト(www.mccain2000.com)にはオンライン献金フォームが設けられ、クレジットカードで献金ができるようになっている。マケイン氏がニューハンプシャー州で勝利を果たした日には、その数時間以内に30万ドルの資金と4000人のボランティア志願者がウエブサイトに殺到したそうだ。インターネットで選挙資金を集めたのは、マケイン議員が初めてである。

 ウエブ上で資金集めやロビー活動を行なうサービスも現れており、集めた資金の最低10%の手数料を徴収するそうだ。ロビー活動には電子メールが活用されており、ゴア副大統領の元にはアメリカの森林を救うように訴える嘆願メールが17万通以上も届いたという。

 アメリカでは、投票もオンラインで行なわれつつある。昨年から各地でインターネットを利用した模擬投票が行なわれていたが、3月には初の法的に有効な公的選挙がインターネットを使って行なわれた。アリゾナ州の民主党党員にはそれぞれ事前に暗証番号が郵送され、3月7日~11日の5日間、ウエブサイトで投票することができた。古いバージョンのネットスケープを使っていた人はクラッシュしたり、電話線が混んでいてつながらなかったりという問題はあったものの、7日1日だけで、1万4000人の民主党員が投票。96年の投票総数1万2600を上回っている。

 インターネットアクセスのない党員は、指定の投票所に出向き、コンピューターまたは従来の紙方式で投票が行なわれた。オンライン投票に関しては、アクセスできない低所得者や少数民族の投票の権利を侵すものとして連邦地方裁判所で訴訟も起こされていたが、3月の頭に否決され、オンライン投票の実施に至ったのである。

 セキュリティに対する懸念の声も高いが、低迷する投票率をインターネット投票によって上昇できるのでは、という期待は大きい。投票所まで1時間も運転をしなければならないという地方在住の有権者にとっては朗報だ。

 アメリカでは、国勢調査も、今年から一部インターネットで行なわれることになった。国勢調査の回答率は、70年78%、80年70%、90年65%と下降を続け、今年は61%まで落ちると予測されている。やはり、回答率の向上にインターネットが一石を投じられればというものだ。特にコンピューター世代の若い世代の回答率上昇に期待が寄せられている。

 国勢調査局では、回答率を上昇させるために、1億7000万円を投じ、初の有料広告キャンペーンも実施している。回答率が上がれば、調査員派遣費用などの人件費の削減にもつながる。ちなみに作業量が1%増加するごとに、コストは3400万ドル増加するそうだ。

 今年の国勢調査では、1億1500万世帯のうち700万世帯がインターネットで回答をすると予測されている。調査票には、7問のみの短いバージョンと53問の長いバージョンがあるが、オンラインで回答できるのは、短いバージョンのみである。システムは1時間に80万人のユーザーに対応できるということだ。

 先頃、私のもとにも短いバージョンが届いた。票にはオンラインでの回答に関する説明はなく、URLも表示されていなかったが、国勢調査のサイトに行くと書式のヘルプのところにオンライン回答につながるリンクがある。

 サイトでは調査票の種類を選び、調査票にある識別番号を入力。回答内容は何人で住んでいるか、家は持家か(その場合、住宅ローンを払っているか否か)、借家か、氏名、電話番号、性別、年齢、生年月日、人種という簡単なものだ。

 アリゾナ州での初のオンライン投票には、日本からも調査のために視察に訪れた関係者がいたようだが、日本でもオンライン投票の導入によって投票率下落を食い止められる日は近いのだろうか…。

有元美津世/N・O誌2000年5月号掲載  Copyright GloalLINK 1997-2000

Revised 6/1/2000

アメリカ西海岸便りインデックスへ


HOMEお問い合わせベンチャーグローバル西海岸
 
1996-2001 (c) GlobalLINK All rights reserved