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有元美津世のアメリカ西海岸便り

乗客の不満はピーク
航空会社のサービス改善に期待!


 前々回、ずさんな航空会社の話をしたが、今回はその続きである。

 今月は南部の方に出張した。ノースキャロライナ州のシャーロットからアトランタ経由でカリフォルニアに帰るときのことだ。この地域は、夏から秋にかけ、嵐が多く、遅延や欠航が相次ぐ。特に私がいつも乗るシャーロット−アトランタの便は時間どおりに飛ぶことのほうが珍しい。

 シャーロットの空港で、ファーストクラスの搭乗が終わった後、いつまでたってもキャビン席の搭乗案内がない。しかし、見ていると、搭乗はどんどん進んでいる。私も搭乗を待つ人の列に入ったが、回りの人たちも口々に「搭乗案内はあった?」「今、何列目まで搭乗しているのか?」と尋ね合っている。

 搭乗券を見せた後の機内への通路には長い列ができていた。座席の順番に搭乗していないのだから、前列の人たちが先に座り、機内はごった返すのは当然だ。私の座席もかなり後方だったので、座席にたどりつくまで時間がかかった。

 座席に座った後も、乗り込んでくる人はたくさんいた。すると、機内アナウンスがあり、「管制塔からの連絡により、10〜15分以内に出発しなければ、離陸権を失い、離陸までに1〜2時間待たされますので、乗客の皆さま、早く着席してください」というではないか!  

 地上乗務員が座席順に搭乗させなかったがために、私たち乗客は1、2時間も飛行機に座ったまま、離陸待ちをするかもしれないのだ!乗客の間に緊張感が走ったが、無事、15分以内に離陸できた。

 先週、米国運輸省が、航空会社が遅延や欠航、運賃払い戻し、荷物紛失に関し、顧客にどう対応しているかを調べた報告書を発表した。報告書によると、2000年、なんと4便に1便が遅延または欠航されたという。

 アメリカでは99年、乗客の権利を守るための法制化の動きがあったのだが、それを阻止するために航空会社は自主的に顧客サービスを向上させることを約束したのだ。この報告書が法制化を決めるカギにもなる。

 そもそも、99年法制化の動きが始まったのも、雪が降り積もるなか、デトロイトでノースウエストが運行を見合わせず、何機もの飛行機が空港で立ち往生してしまったことが原因だ。飲物も食物もなく、トイレも故障した中で、最高8時間も飛行機に閉じ込められた乗客がいたのだった。集団訴訟が起こされ、7500人の乗客に対し710万ドルの賠償金が最近になって支払われている。

 飛行機発着の遅延の69%が悪天候によって引き起こされるという。こればかりは航空会社もどうしようもない。しかし、問われているのは、遅延が起こった際の航空会社の対応なのだ。遅延や欠航の際に航空会社が情報を提供しないことに対する乗客の不満は高い。

 今回アトランタではいつもとは違うゲートから飛び立ったのだが、そのゲートには最新のモニターが設置されていた。

 そのモニターでは、目的地の現在の天候、この先4日間の天候、スタンバイのウエイティングリスト、ファーストクラスへのアップグレードのウエイティングリストが表示されており、リストは優先順にイニシャルで表示され、空席数も表示されている。空席待ちの人は自分が乗れる確率がどれくらいかを見ることができる。

 またマイレージカードのステータスや座席によって、予定搭乗時間が分刻みで表示されている。搭乗が始まると、現在の搭乗座席番号が表示されるので、搭乗が始まってからゲートに到着しても、自分の座席はもう呼ばれたかどうかが一目でわかる。

 こうしたモニターがあれば、地上乗務員が忙しい中、些細な質問で手を煩わせることもない。乗客にとっても、乗務員にとっても、便利なシステムである。

 航空会は手持ちの情報を公開するだけで、生産性を上げ、顧客を満足させられるのだ。航空会社には、こうしたサービス向上をこれからも期待したい。

 

有元美津世/N・O誌2001年5月号掲載  Copyright GloalLINK 1997-2001

Revised 1/6/2001

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