世界で通用するためには |
はじめに |
ウンザリして起業家になるX世代
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前回、アメリカの若者のあいだで起業が盛んであるという話をしましたが、「しつけがなっていない」「文句ばかり言う」「楽することしか考えていない怠け者」と、上の世代には概して評判の悪い「ゼネレーションX」(20歳代〜30歳代前半の世代)ですが、じつはなかなかたくましいのです。
好景気のアメリカでは就職市場も回復しましたが、レイオフを行っている企業はまだありますし、大卒者の数が職の数より2割多いという状況は2005年まで続くと言われています。また、アメリカでは、大学生の約6割が学生ローンを借り、平均的学生は卒業時に8000ドル以上の借金を抱えているといいます。就職できなくても、マクドナルのアルバイトでも何でもやって、借金を返すしかありません。 人のための1ドルより自分のための50セント 「職がないのなら、自分で作り出すしかない」「頼れるのは自分だけ」と、自らビジネスを始めるわけですが、X世代が起業するのは仕事がないから仕方なしにというわけではありません。彼らは、親の世代が長年働いてきた企業に無残にもリストラされるのを目のあたりにし、たとえ大企業に就職したところで将来の保証はないという厳しい現実を早くに見てしまったのです。彼らは、企業にとって個人など、しょせん若くて安い人材で置き換えるまでの「使い捨てのコマ」でしかないこと、企業に勤めるかぎり本当の意味で自分の人生の舵は握れないことをすでに見通しているのです。 そして、彼らは、確立された組織の中で求められるのは創造性や冒険心ではないこと、企業で報いられるのは必ずしも実力がある者ではないことも悟っています。あるX世代起業家は、「与えられたものにウンザリすることが起業家を生む」と言いました。「長時間労働と私生活の犠牲を強いられて、人のために1ドル稼ぐより、好きなことをやりながら自分自身のために50セント稼ぐ方がいい」というのが彼らの哲学です。 |
Revised 2/8/99 |