世界で通用するためには
はじめに

アメリカSOHO・X世代〜つづき〜 厳しくてもそれでもいいのだ


つぶれる危険性は大だが

 前回の話のようにして起業したX世代は、夜アルバイトをして資金作りをし、昼は自分のアパートの寝室や台所を事務所代わりに、商品の準備やマーケティング計画の作成、ホームページ作成に取り組みます。1日12時間、週7日間労働など苦ともしません。
「まだ利益は出ていない」「会社勤めをしていた頃より、4倍も5倍も働いている」と、彼らが選んだ道は、決して楽ではありません。スモールビジネスの24%が2年以内、52%が4年以内につぶれると数字は冷たく語っています。
それでも、彼らは、少なくとも自分の人生を自分でコントロールできることに満足しています。自分でコントロールする=自由であるということなのです。
アメリカでは、週末になると、小学生が「洗車します」と書いたボール紙を持って道端に立っている光景をよく目にします。以前、取材したユニークな自転車屋の店主(33歳)は、12歳のときから家のガレージで近所の人の自転車修理を始め、16歳で祖父から借金をし、つぶれかけの自転車屋を買い取りました。

アメリカの銀行も甘くはない

 日本では、アメリカでは創業資金がいとも簡単に調達できると思われているフシがありますが、実際にはアメリカ人起業家のほとんどが、貯金や家族知人からの借金で起業をするのです。
起業家向け雑誌『インク』が毎年選ぶ「アメリカで最も急速に成長している企業500社」のうち、70%が貯金、16%が家族からの出資・借金、14%が共同経営者による出資、10%がクレジットカードを利用しています。銀行による融資は7%、エンジェル5%、ベンチャーキャピタルはわずか3%です(複数回答)。
インク500企業は平均従業員数121人、過去にマイクロソフト、オラクル、ゲートウエイ2000なども選ばれ、かなりの規模の企業を含みます。もっと規模の小さいスモールビジネスでは、貯金や家族知人からの借金、クレジットカードの利用度はさらに高くなっています。売上も抵当もない個人にお金を貸してくれるほどアメリカの銀行は甘くはありませんし、エンジェルやベンチャーキャピタリストなど、一般の起業家には無縁です。アメリカでは、複数のカードの限度額いっぱいまでカードローンを借り、創業期をしのぐ起業家はたくさんいます。彼らは言います。「障害を避けて成功する道などない」と。

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Revised 2/8/99