世界で通用するためには
海外で就職するには

世界最大のランドスケープデザイン事務所で働く人
〜続き(大学院に入学したときの話)

目的意識、貢献度が問われる

 アメリカの大学院でランドスケープ・アーキテクチュアを勉強することにした石田さんは、デザインの経験のある者は2年、ない者は3年で修了できるペンシルバニア大学芸術大学院を目指した。
「アメリカの大学院はキャリアチェンジに寛大で、私のように学部でデザインを勉強しなかった者にでも、可能性がポートフォリオ(作品集)などで証明されれば、門戸を開いてくれました」
入学には、ポートフォリオや志望動機を述べた小論文が必要とされた。各学校に提出されたこれらの資料は教授陣のみではなく、在学生の代表で構成された委員会で審査される。
判断基準は、その志望者が入学後、どのような形で授業に貢献してくれそうか、卒業後に学校の名声を高めてくれる可能性が高いかどうか…TOEFL(外国人留学生向け英語能力テスト)やGRE(大学院入学のための標準テスト)などの得点も重要だが、決め手は目的意識と空間デザインに対するセンスだという。

写真集を作成することに

 石田さんは、こうした傾向を分析した後、ポートフォリオ作成に取りかかった。「建築やデザイン経験のある人は、過去の作品をまとめればよいのですが、社会心理学を勉強した私の場合、ポートフォリオになりそうなものは何ひとつありませんでした」
しかし、昔から写真を趣味としていた石田さんは、二部構成の写真集を作成することにした。第一部では日本の従来からの自然と調和してきた、五感に密着した外部空間を取り上げ、第二部では近代合理主義が生んだ日本の荒廃した外部空間の問題点を取り上げた。
「このポートフォリオをエッセイと関連させ、多くの問題を抱えた日本のランドスケープを救済するために、アメリカでランドスケープ・デザインを勉強したいと訴えました」
石田さんは、こうして見事、ペンシルバニア大学芸術大学院への入学を果たしたのだ。

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Revised 2/8/99