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テロの経済・産業に与える影響



甘い警備体制

今回の事件で、アメリカでは空港の警備の甘さが指摘されているが、私が事件の4日前にカナダに向けて出発した際も、チェックインカウンターでは、「荷物は自分で詰めて、常に目の届くところにあったか?」「知らない人から何か運ぶように頼まれたか?」というお決まりの質問さえなかった。

アムトラック乗車中、私は公衆電話や自動販売機を利用するために、主要駅ではすべて下車したが、乗車の際に乗車券を見せるように言われたことはなかった。 車内で乗車券を調べに来るのは、乗車直後だけだ。ずっとラウンジ車にいれば、乗車券の提示を求められることはない。乗ろうと思えば、誰でも乗り込めるわけである。 事件翌日、テロへの関与疑惑があると思われる男性2人が、テキサスでアムトラックに乗っているところを連行されたというのにだ。

空港再開後は警備が厳しくなり、大きな空港ではたいていタクシーなどの商業車しかターミナルまで乗り込めないようにしている。個人の車で行くと、空港から離れた駐車場などで降ろしてもらい、そこからシャトルバスに乗ってターミナルまで行かなければならないのだ。見送りの人たちが空港に入れないため、空港内のレストランなどでは、つぶれるところが相次いでいる。とんだとばっちりである。

不安な心理が航空会社をつぶす

空港のレストラン以外にも、テロの影響はあちらこちらに波及している。 株式市場が再開した後、航空会社、保険会社、旅行会社の株価が暴落した。飛行機はガラガラで、旅行代理店は暇で仕方がないという。私の周りにも休暇をキャンセルしたり、会社で出張禁止命令が出たりして、飛行機に乗らなくなってしまった人たちがいる。航空会社は、計10万人近くの人員削減を発表している。

一方、毎週、出張をする友人などは、飛行機はガラガラで、ファーストクラスへの無料アップグレードは簡単にでき、飛行機はすべて時間通り飛び立つため、この状態が続くことを願っている。しかし、このままでは航空会社はつぶれてしまう。

テロ後に飛行機がハイジャックされる確率が上昇したわけではない。リスクはこれまでもあったが、私たちが気づいていなかっただけである。テロ後、空港での警備が高まり、かえって以前より安全になったといえる。

いずれにせよ、今までどおり、ハイジャックや飛行機事故で死ぬ確率より、交通事故で死ぬ確率のほうが断然高いのだ。人間の心理、非理性的な行動が、航空会社をつぶすほど市場に影響を与えるのかと、空恐ろしくなった。

いま、航空会社はあの手この手で、旅行客を呼び戻そうと懸命だ。カリフォルニアからニューヨークやフロリダまで100ドルで飛べる格安運賃が登場している。片道だけ24〜99ドルの割引運賃を払えば、片道はどこでも1ドルという航空会社まである。 ホテルも泊客が激減し、料金を下げている。ニューヨークやラスベガスでは、客寄せのために一部無料のショーも提供されている。 こうした激安料金を利用して、あちらこちら旅行できるまたとないチャンスであり、少しでも経済の活性化に貢献したいものだ。


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Revised 12/1/01




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