さっそく便乗商売やスパムメールが
前回、テロ事件後、インターネットが活用されている話を書いたが、同時にインターネットは心ない人たちによって悪用もされている。
事件後数時間以内に、オークションサイトでは、世界貿易センターの瓦礫や事件のビデオなどが販売されはじめた。
不幸な事件につけ込むようなこうした商品の販売は禁止されたものの、世界貿易センターの絵ハガキ、写真などは、今も高価で売買されている。たとえば、絵ハガキが26ドル、写真が100ドル、ポスターが200ドルなど。世界貿易センターを見て育ったニューヨーク子にとっては、まさかなくなるとは思っていなかった、かけがえのない光景なのだろう。
事件につけ込んだスパムも横行している。 「ここにはテロリストはいません!アメリカで起こっているたわごとをテレビで見てないで、我がポルノサイトにお越しください」などというスパムメールが事件の2時間後に流れていた。しかし、こんなスパムは、まだかわいいものである。
詐欺やウイルスも出回る
犠牲者を助ける募金活動と偽ったり、赤十字の名を騙ったりして、別のサイトに誘い込み、お金を騙し取るものもある。事件後、星条旗を家や車に立てるアメリカ人が増えているが、星条旗を販売し、売り上げの一部を犠牲者救済に募金すると騙す詐欺も横行している。
炭素菌事件が起きてからは「ガスマスクを持っていますか?」「ビンラディンはあなたの死を願っています…細菌・科学兵器サバイバルマニュアルが必要か否か?…次の質問に答えられなければ、あなたは死傷者統計データと化してしまうかもしれない…」などと人々の恐怖心を煽ったスパム広告が送られてくる。
事件に便乗したコンピューターウイルスも出回った。 「アメリカとイスラムのあいだに平和を」という題名で、「これはアメリカに対する戦争なのか、イスラムに対する戦争なのか? 平和を生きるために投票をしよう!」と書かれたメールに、WTC.EXE(WTC=World
Trade Center)というファイルが添付されており、添付ファイルを開けると、マイクロソフトアウトルックに登録されたアドレスすべてに自動的にメールが送信され、ハードドライブのファイルを一部削除するというものだ。
インターネット自体は中立だ。インターネットが有効に活用されるか、悪用されるかは、まさにそれを利用する人間にかかっている。
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